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浮気調査知識

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プライバシーに関する探偵・興信所についての裁判例はあるか探偵・興信所に関して裁判で問題になった事例にはどのようなものがあるのでしょうか。事件について、詳しい内容を教えてください。
2025/09/05
口聞込みの方法京都地裁昭和四六年八月二三日判決判例時報六五〇号九〇頁は、興所調査員が調査対象者宅付近の家を訪問し、自己の身分を明かさずに、調査対象者の顔写真を見せてどのような仕事をしているか、何時頃帰宅しているかを聞いて回ったため、調査対象者が刑事事件を起こし管察が聞込みをしていると近所の人たちが思いこんでしまい、調査対象者が近所で警戒されるようになったという事案です。判決では興信所の調査員が調査をする場合は、調査を受ける人被調査者の社会的な地位や名誉・信用を害さないように最大限配慮しなければならない、また、第三者に調査する場合、自分の身分を明かして協力を求めなければならないとして、調査対象者から興信所に対する損害賠償請求が認められています。口盗聴岐阜地裁平成九年一一月二一日判決判例時報一六三八号一六一頁では、興信所経営者が町長先の電話を盗聴し、電気通信事業法違反として懲役一0カ月、執行猶予三年の刑に処せられています。なお、この判決では、興信所経営者に依頼した者も、盗聴について共謀したとして、共犯とされています。口盗撮等京都地裁平成一八年一月二四日判決判例集未登載では、浮気調査の依頼を受けた興信所の従業員が、調査対象者の自宅のあるマンションの配電盤に許可なくビデオカメラを三日間設置し、調査対象者の居宅に出入りする人物や調査対象者の容貌を無断で撮影した事案です。判決では、調査対象者の「プライバシーが侵害されたことは明らかである」と断じ、興信所に対して損害賠償の支払いを命じました。口虚内容の報告書の作成また、直接プライバシーに関係するとはいえませんが、東京地裁平成三年七月一九日判決判例時報一四〇〇号六一頁は、銀行からある会社の信用調査を依頼された用調査会社が誤った内容の報告書を作成して報告を行い、この報告書内容が同業者の間で広まったため、調査対象会社の信用が毀損され、進行中の事業が進められなくなったという事案です。判決では、一般に、企業の信用調査を行う会社が特定の企業の信用調査を依頼されたときは、誤った調査結果によって被調査者の名誉・信用を傷つけることのないよう事実関係を十分に調査したうえで慎重に報告書を作成すべき注意義務があるとしました。そして、民間の信用調査会社には強制力もなく、不適当な調査方法もとれないし、費用・時間との関係で十分な調査ができないまま報告書を書かざるを得ない場合もあるが、その場合も調査状況に応じ調査が尽くされない資料不十分なままの一応の調査結果であることとそれに基づく一応の評価であることを適切に表現すべき義務があるとしたうえで、本件調査会社の作成した報告書の内容には虚があり、調査対象会社の社会的評価を低下させるものであって報告書の内容の秘密保持の点にも配慮を知いたとして名誉・借用毀損による損害賠償として用調査会社に五〇万円を支払うよう命じました。なお、この裁判では、信用調査を依頼した銀行や、その銀行から報告書の内容を聞いて、同業者にその内容を伝えた者に対しても損害賠償請求がなされていましたが、こちらについては認められませんでした。
プライバシーを侵害した場合にどのような責任を負うかプライバシー侵害をした場合はどのような責任を負うことになるのでしょうか。
2025/09/05
口刑法上の責任探偵・興信所が調査活動を行う際にも、刑法その他の法律を守らなければならないことは、法治国家として当然のことです。刑法等の刑罰法規に反する行為をすれば懲役刑・罰金刑等の刑罰が科されます第二部第二章Q2参照。刑法で規定されている犯罪の中でプライバシーに関するものは以下のものがあげられます。調査の目的が正当であったとしても、調査の方法が以下の犯罪行為に当たる場合には、罰せられることになります。①勝手に他人宛ての手紙の封を開ける行為書開封罪、刑法一三三条。一年以下の懲役または二〇万円以下の罰金②医師や弁護士等が業務上知った人の秘密を掃らす行為秘密漏示罪、刑法一三四条六カ月以下の懲役または一〇万円以下の罰金人の住居に購手に侵入する行為住居侵入罪、刑法一三〇条三年以下の懲役または一〇万円以下の罰金刑法以外の法律でも、たとえば郵便物を勝手に放棄したり、受取人でない人に渡した場合には便法七七条に違反し、盗聴により通信の秘密を侵害した場合には電気通信事業法四条や電波法10九条等に違反することになります。口民法上の責任また、プライバシー侵害は民法上の不法行為民法七〇九条に該当しますので、プライバシー侵害を受けた者はプライバシー侵害を行った者に対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。たとえば、住居等に無断で侵入されたり、のぞき見や盗聴をされた場合、家庭内の事情や、思想信条に関する事項、病歴や財産関係、出自等他人に知られたくない事項を公開された場合等は、不法行為として損害賠償請求ができます。ただし、プライバシーの保護は「表現の自由」憲法二一条と対立関係になる場合もあります。たとえば、政治家のプライベートな事項は、本人がその公開を望まなくとも、有権者が一定の範囲で関心をもち、投票の際の参考にすることは重要なことですから、有権者の知る権利に応えるという観点から公開が許される場合があるのです。どこまでが表現の自由として認められ、どこからはプライバシー侵害として許されないかは、個別の事案に応じ具体的に判断されることとなります。
探偵・興信所は個人の情報を調べることができるか市役所や税務署、警察等では、住民のいろいろな情報を管理していると思いますが、探偵・興信所ではこれを調べることができるのでしょうか。
2025/09/05
口法律・判例戸籍・住民票・税金・前科等犯罪の情報など、国や地方自治体は行政運営上さまざまな個人情報を保有しています。これらの情報が誰でも自由に得られるとすると、私たちのプライバシーはないも同然です。従前、戸籍法一〇条では、「何人でも、戸籍の階本若しくは抄本・・・・・の交付の請求をすることができる」と、原則的には誰でも戸籍謄本等の交付を受けることができるが、戸籍謄本等の請求が不当な目的によることが明らかなときはその請求を拒めるとされていました。平成一九年五月に戸籍法が改正された結果、戸籍に記載されている人か、その夫・妻、子ども、孫、両親等近親者以外の者からは弁護士等を除いて、原則として交付請求できなくなりました権行は公布の日から一年六カ月以内。ですから、探偵・興信所では、戸籍を調べて出身地や家族歴等を調べることはできないことになります。また前科の照会に関しては、最高裁判例昭和五六年四月一四日判決・判例時報一〇〇一号3頁で「前科等のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有する」としていますので、前科照会も探偵・興信所がすることはできません。⬜︎個人情報保護法等以上のように、役所で管理されている個人情報については、みだりに流出しないよう規定がされプライバシー保護の視点で判例も出ています。しかし、国や地方自治体の有する個人情報がすべて十分に保護されているという状況とは、必ずしもいえない部分があります。平成一七年に個人情報保護法が施行され、それと同時に、行政部門に関しては「行政機関個人情報保護法」、独立行政法人たとえば従前の国立病院には「独立行政法人個人情報保護法」が施行されています。また、地方自治体では、それぞれ個人情報保護に関する条例が制定されています。探偵・興信所が行政機関から個人情報を取得する場合には個人情報保護法に定められた取扱いに従わなければならず、行政機関等は行政機関個人情報保護法に基づいて、保有している個人情報が適正に取り扱われるようにしなければなりません。しかし、これらの法令による保護は、十分ではないとの指摘もあります。また住民基本台帳ネットワーク住基ネットは、すべての住民に一一桁の番号からなる住民票コードをつけて、その個人に関する情報をコンピュータを通じて一括管理するシステムですが、国や地方自治体にあるさまざまな個人情報が集約されれば、私たちの個人情報が丸ごと監視される危険につながるとして、その違憲性が裁判で争われています住基ネットがプライバシー権を侵害するとしたものに大阪高裁平成一八年一一月三〇日判決・判例集未登載等、侵害しないとしたものに名古屋高裁金沢支部平成一八年一二月一一日判決・最高裁ホームページ等。本書の内容からは少し外れる問題ではありますが、先に述べたようにプライバシー権は私たちが人間らしく生活するための基本となる権利であり、行政における個人情報管理の方法についても関心をもつ必要があるのではないでしょうか。
プライバシー権は法律で認められているといえるかプライバシーという言葉は現在の日本の法律では使われていないとのことですが、それでも法律上認められた権利といえるのでしょうか。
2025/09/05
日本には「プライバシー」ということばを使った法律は現在のところありません 本章Q2参照。憲法にも「プライバシー」ということばはありません。しかし「プライバシー」ということばが使われていないからといって、憲法が「私生活上の情報」を保護しないという立場なのではなく、以下の理由からむしろ積極的にプライバシーを権利として認めていると解釈できるのです。口憲法の規定憲法はまずいくつかの条項でプライバシーにかかわる権利を保障しています。たとえば二一条二項は「通信の秘密」を規定しています。他人の手紙を勝手に開けたり、電話を盗聴するというプライバシー侵害は憲法違反となるわけです。また三五条一項は無断の住居侵入を禁じています。さらには三八条の不利益な供述の強要禁止、一九条の思想良心の自由もまた私的領域に介入されないという意味でプライバシーにかかわる権利規定といえます。そして憲法が保障するプライバシー権はこのような具体的に示された権利にとどまりません。憲法一三条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と規定されていますが、これは「幸福追求権」と呼ばれ、人が人として生存し生活するため父くことのできない権利を包括的に保障した規定とされています。そして、プライバシーの権利自己の情報をコントロールする権利は社会の中で自立的な人格として生存するために欠くことのできない権利であるとして、判例では憲法一三条を根拠としてプライバシー権が認められるようになったのです東京地裁昭和三九年九月二八日判決・判例時報三八五号一二頁[宴のあと事件。ロプライバシーと個人情報平成一七年に個人情報保護法が成立し、個人情報の取扱いについてのルールが法制化されました。個人情報保護は、プライバシー保護と密接に関連しますが、個人情報=プライバシーに関する情報というわけではありません。プライバシーに関する情報は私生活上の情報であり、その情報が一般には知られておらず、これが公開されることを一般人であれば望まないような情報です。そのような情報の公開・非公開を自己が管理する権利がプライバシー権です。これに対して個人情報保護法における個人情報は、私生活上の情報かどうかは関係がありません。また、すでに公開されている情報であっても個人情報に当たります。また、公開することを望むかどうかも関係がありません。たとえば、一般に公開された電話番号も個人情報に当たりますが、必ずしもプライバシーに関する情報とはいえません。また、「個人情報保護法のルールを守っていたら、プライバシー権の侵害をすることはない」といえるものでもありません。ため情報管理のルールを定めたものであり、個人の権利であるプライバシー権とはそもそも次元の違う概念なのです。ロプライバシーに関係するさまざま法律個人情報保護は、個人の権利プライバシー権も含まれますが侵害されることを事前に防ぐの違う概念なのです。プライバシーに関係する規定はさまざまな法律に存在します。具体的には、国や市町村等において、プライバシー保護を目的とした規定行政法の分野、プライバシー侵害に対して、刑罰を科すことによってその予防をしようとする規定刑法の分野、プライバシー侵害が行われた際に損害賠償によってその被害の補填をする規定民法の分野の三つに分けることができます。憲法は国の最高法規であり、憲法に違反する法律規定や運用は認められません。これら三つの分野の規定やその運用は、すべて憲法の規定する「すべて国民は個人として尊重され」「幸福追求に対する国民の権利は国政上最大の尊重をしなければならない」という憲法の精神に則った規定・運用でなければならないのです。各分野における具体的な規定は、本章Q4以降を参照してください。
プライバシー権とは何かプライバシー権とはどのようなものですか。よく聞くことばではあるのですが、詳しく説明してください。プライバシーということばは、日常よく耳にすることばです。携帯電話の履歴を勝手に友達に見られた場合、近隣の背の高いビルから自宅がのぞかれたりした場合、「プライバシー権の侵害」と感じることでしょう。では、プライバシー権とは具体的にはどのような意味なのでしょうか。
2025/09/05
ロプライバシーと法わが国ではプライバシーということばそのものを使用した法律は現時点では存在しません。しかし、私たちが人間らしく生活するために欠くことのできない権利プライバシー権として判例等で認められてきたものです最初にプライバシ1権を認めた判決として、東京地裁昭和三九年九月二八日判決・判例時報三八五号一二頁[宴のあと事件]。当初プライバシー権は、「一人でいさせてもらいたいという権利」あるいは「みだりに私生活を公開されない権利」と考えられ、それが害された場合には、侵害した者に対して損害賠償ができるものと考えられてきました。しかし、社会が変化する中で、私事が公開されないように求める場合だけプライバシー権を考えればよいという状況ではなくなってきたのです。現在のような情報化社会では、私生活に関する情報たとえば、病歴、経歴、収入額、税金、年金等が電子データ化され、個人に関する情報が広く流通し、容易に他人の個人情報を知ることができるような状況が生まれる可能性が出てきました。しかし細部にわたる私事が、自分の知らない間に他の人に知られてしまうようでは、他人と話もできません。まるで自分自身は立派な服を着て、素肌を隠していると思っているけれど、他人からは裸に見える「裸の王様」の状態になってしまいます。私たちが自立した人間として周囲の人と友情や愛情、信頼関係を結び、社会関係をつくっていく大前提として、「自分自身の私生活上の情報を自分自身でコントロールすべき」との考えが生まれてきたのです。つまり、私生活上の情報を公開するかどうかを自己が決定することだけでなく、どのように管理されているか、閲覧を求めたり、もし内容に間違いがあれば訂正を求める権利としてプライバシー権を考えるようになってきたわけです。プライバシー権の内容がこのように把握されるようになった原因は、情報化社会という時代の流れのみではありません。憲法にうたわれる「個人の尊厳」の観念、つまり一人ひとりの人間を人間として尊重し、その生活様式や生き方について他人が干渉すべきではないという考え方が定着してきたことも大きな要因と考えられます。実際、プライバシー権の根拠については、憲法1三条の想定する幸福追求権の一つであり、人格権の一つであると考えられています本章Q3参照。ここでも、プライバシーとは、「私生活・私事あるいは個人情報」と考え、プライバシー権は、「自己の情報を自己がコントロールする権利」と考えることとします。
調査を依頼するときにどのようなことに注意すればよいか探偵・興信所にはどのようなことができるのかがよくわかりません。法律で禁止されていることまで依頼してしまっては私にも責任が及びそうで不安です。探偵事務所・興信所に調査を依頼するときに注意すべき点はありますか。
2025/09/05
■プライバシー権「夫が誰と浮気をしているか調べてほしい」「結婚相手の収入や経歴、近所の評判を知りたい」「音信不通になった人が今どこにいるか知りたい」「取引相手の経営状態を知りたい」等、自分自身が知らないことを調査してもらうために探偵・興信所を利用することがあります。しかし、探偵・興信所に依頼する人にとって「知りたいこと」は、調査される側にとっては人に「知られたくないこと」である場合もあり人に知られたくないことを公にされない権利、つまり自分自身の情報出身・経歴・収入・家族構成・住所等を他人に教えるかに教えないかを自分自身で決める権利を「プライバシー権」といいます本章Q2参照。口許される活動、許されない活動ー目的・方法することが問題となり、トラブルが発生する可能性があります。いというものではありません。夫や妻が浮気をしていることによって家庭が破壊されてしまい離婚をするために相手方の浮気の証拠を得る必要がある場合などは、調査をする目的は正当である他人に関する情報を調査する探偵・興信所の活動は、常に調査対象者のプライバシー権と相反しかし、探偵・興信所の活動はプライバシー権を侵害する活動であるから一切行ってはいけなといえるでしょう。また、悪徳商法を行っている会社について、責任を追及するためにその会社の責任者について調べたり、財産関係を調べる等、社会的に必要な場合もあります。他方、就職や昇進の差別をすることを目的として他人のことをあれこれ調べることは許されないでしょう。一方、目的が正当であれば、どのような調査をしてもかまわないというものでもありません。調査の方法が他人のプライバシー権を侵害するようなものであれば、やはり許されないことになります。正当な目的の調査であっても刑法等の法律に反する調査活動無断で人の家に入り込む、盗聴をする、事情を聞き出すため人を脅す等をしてはいけないことも、また当たり前のことです 第一部第二章Q1参照。結局は、どのような目的で調査をするのか、調査活動が法に違反せず社会的にも認められるものか、その調査によって具体的にどのようなプライバシーの問題が生じるのかを比較して是非を考えることとなります第三章Q1参照。口探偵・興信所が違法な調査活動をした場合の依頼者の責任探偵・興信所が違法な調査活動をした場合、調査活動をした探偵業者がまずその責任を負うことになりますが、調査の依頼者も、違法であることを承知で、探偵に対し積極的に違法な調査をするように求めた場合など、そのかかわり具合によっては責任を負う場合もあり得ます。探偵・興信所に調査を依頼する場合は、どのような方法で調査をするのかを聞き、違法な調査が行われないか確認しておくことが重要でしょう。口大阪府部落差別事案に係る調査等の規則等に関する条例なお、大阪府には、大阪府部落差別事案に係る調査等の規則等に関する条例があります第一部第二章Q1参照。この条例では異肩所・探偵業者が、人の住所地が同和地区であるかどうかを調査・報告したり、同和地区の所在を教示したりしないように定め、これに違反する業者に対しては大阪府から改善の指示をすることができ、この指示に従わない場合は営業停止を命ずることができ、さらにこれにも従わない場合には、その業者に対して会社の場合はその代表者に対しても罰金刑を科すことができると規定しています。これは大阪府だけの条例ですが、不正目的の調査はしてはならない一つの参考といえます
裁判での解決例にはどのようなものがあるか探偵・興信所の被害について、これまでに、裁判所で解決した例はあるのでしょうか。
2025/09/05
内容証明郵便の送付等、任意の交渉によって探偵・興信所とのトラブルが解決しない場合、管轄の裁判所に裁判を提起して司法の判断に委ねざるを得ません。実際に、次に紹介するような裁判例も存在します。大阪地裁平成八年一月一八日判決判例集未登載結婚を約束していた上司の尾行調査の依頼につき、探偵業者側が、二個班通常の調査員の二倍の調査員による調査。料金も二倍で調査したとか特殊機器を使用した等の主張を行い、七日間の調査料金で合計五四〇万二四〇〇円の支払いを求めた事案です。被害者は、この料金を支払う旨の「支払承諾書」を書かされています。大阪地方裁判所は、個々の具体的な事実に踏み込んで、調査依頼の事実や依頼の具体的な内容を判断して、調査依頼があったことは認定したものの、二個班での依頼の事実は否定しました。そのうえで、支払承諾書の効力も否定して請求額の四割を減額しています。主張や暴利行為に当たるといった主張が退けられている点で、問題点も指摘できます。一方で、依頼者側の、調査料を取する意図で十分な説明もせずに過剰調査を依頼させたとの口大阪地裁堺支部平成一六年和解四〇〇万円を貸した知人が行方不明になったため、六〇歳代の女性が平成一四年三月、大手調査会社本社・東京のフランチャイズ支店に所在調査を依頼し、最終的に計四六〇万円の料金を支払わされ、二カ月後、支店の代表者と連絡がとれなくなったという事案です。フランチャイザーである本社が被害者に対して二一五万円を支払うという内容での裁判上の和解が行われました。フランチャイザーの責任が追及されたケースです。■大阪高裁平成一五年和解夫を不倫相手と別れさせるよう依頼したのにまともな調査をしなかったとして、四〇〇万円あまりの費用を支払った被害者が、いわゆる「別れさせ屋」第一章Q9参照に対し、損害賠償を求めた事案です。大阪市内の調査会社が解決金一五〇万円を支払う内容で裁判上の和解が行われました。一審では、被害者の主張に対し、調査会社が反論しなかったため、請求額全額が認容されていたのですが、被告の資力が乏しく、控訴審で和解に応じたケースです。日大津地裁長浜支部平成一七年和解娘の婚約者の身元・学歴の調査に関し、調査会社側が大学中退の事実を調査することができるかどうかにつき「それは絶対大丈夫です。間違いありません」などと断言して、六三万円の調査料で調査契約を締結したところ、実際にはその事実が判明せず、かつ、不十分な調査結果しか得られなかった事案です。調査会社が契約金額の全額を返還する内容の裁判上の和解が行われました。調査会社は、任意の交渉の段階では全額返還を拒否していたところ、裁判を提起した後に、全額返還に応じてきたケースです。口京都地裁平成一八年一月二六日判決判例集未登載探偵業者の調査対象となった京都市内の女性四〇歳が、マンションの自室近くの通路配電盤の上にビデオカメラを設置され盗撮されたなどとして、調査を行った探偵事務所を営む男性に慰謝料など計五二三万円の支払いを求めた事案です。京都地方裁判所は、「女性のプライバシーが侵害されたことは明らか」として、探偵業者に五0万円の支払いを命じました。調査対象者のプライバシー侵害の有無が争点となったケースです。
交渉を行うにあたってどのようなことに気を付ければよいか探偵事務所に調査を依頼したところ、被害にあってしまいました。これから、探偵事務所と交渉して、支払済みの代金を取り返したいと思っています。交渉する際には、どのような点に注意すればよいでしょうか。
2025/09/05
口契約内容の整理まず、あなたと探偵業者がどのような契約を締結したのかを整理する必要があります。たとえば、①探偵業者に何を依頼したのか、②調査期間、③費用、④途中解約したらどうなるのか、等の詳細について、契約書を作成して書面の合意を行っておいた場合には、契約内容の把握は、難しいものではないと思われます。なお、平成一九年六月一日に施行された探偵業法では、依頼者への説明文書や契約書面の交付が義務づけられています第一部第二章Q2参照。口納得できない点次に、どの点が納得できないかを具体的に列挙し、法律上の規定に基づいてあなたが何を請求するのか、本章Q1を参照して吟味・検討し、その結果をきちんと頭に入れて交渉を行うことが大切です。口調査報告書また、依頼した探偵業者から調査報告書がきていない場合は、まずそれを求めることです。調査報告書を確認することで、探偵業者がどのような調査を行い、何を得たのかがわかります。調査報告書がある場合でも、よく読んでみると矛盾があったりするので、「調査報告書がきちんと送られてきた」ということだけで十分な調査を行ったということにはなりません。重要なのは、対価料金に見合った調査を行っているかどうかです。口話合いによる解決自ら非があることを自覚している探偵・興信所については、話合いによる解決を業者のほうから求めてくることもあります。この場合、どのあたりで話をつけるべきか悩むことがあるかもしれません。ケース・バイ・ケースですので、一定の基準があるわけではありませんが、相手方に明らかに非のある場合であれば、全額返還される可能性もありますので、探偵業者からの「半額は返還する」などといった提案に安易に応じないことが重要です。判断に迷った際には、弁護士など第三者のアドバイスを参考にしてください。
具体的な被害解決事例にはどのようなものがあるか興信所に調査を依頼して被害にあってしまいました。興信所と交渉して何とか被害を回復したいのですが、実際に被害を解決した事例はあるのでしょうか。
2025/09/05
契約の無効・取消し・解除等を主張する内容証明郵便を送付したとしても本章Q6参照、それだけで問題が解決するとは限りません。しかし、非があると自覚している業者のほうから、和解金として、全額あるいは一部の返金を申し出てくることも予想されます。そのような場合、短期解決を願うのであれば、内容によっては和解に応じてよいかもしれません。参考までに、これまで、交渉によって被害が救済された事例を紹介します。口調査結果が虚と思われるケース婚約していた男性から別れを告げられた女性が、「私はこの仕事をして五年になりますが、あなたのケースは一ヵ月あれば片づきます」「復縁の確率は九〇パーセント以上」と告げた調査業者に対し、八四万円を支払って復縁工作を依頼したところ、その後の報告は携帯電話による電子メールを利用して行われたのみで、しかも、実際に復縁工作を行っているのかどうか疑わしい事案につき、弁護士名義で全額の返還を求める内容証明郵便を送付したところ、即座に全額の返還が行われました。業者の対応からしても、調査結果の報告は虚であった可能性が非常に高いと思われます。業者が失踪した事案でフランチャイズ展開する本社に代金返還請求をしたケース母親の離婚交渉・裁判を援護するために、父親と交際相手との浮気現場の証拠写真等客観的証拠を入手することを条件に、業者に二一〇万円の費用を支払ったところ、ずさんな調査しか行わず調査結果報告書も技巧的な作為による部分が存在した、かつ、決定的な証拠を押さえることができなかった事案について、契約当事者である相手方業者が失踪したことから、フランチャイズ展開している本社に内容証明郵便を送付したところ、本社が七五万円を支払うことで合意が成立しました。探偵・興所がフランチャイズ化するケースもみられますが、フランチャイジー支社・支店の所在や資力に問題があるときは、フランチャイザー本社の責任も視野に入れる必要があるといえます。
被害にあった場合、どのような手続で対処すればよいか探偵や興信所の被害にあった場合、どのような手続で解決していけばよいのでしょうか。
2025/09/05
囗刑事事件の場合詐欺等の刑事事件の被害にあった場合本章Q2参照は、管察もしくは検察庁に相談し、探偵業者刑事責任を追及する場合は、法人ではなく個人を相手とするを告訴することにより、代表者等、個人の刑事責任を追及することができます。なお、犯罪被害者もしくは法により定められた親族等が申告する場合を告訴刑事訴訟法二三〇条といい、被害者でない第三者が申告する場合を告発同法二三九条といいます。申告は、書面でも口頭でも可能です同法二四一条一項。なお、口頭の場合は捜査機関に調書作成義務が課せられています。口民事事件の場合きちんと調査をしてもらいたい、支払った代金を取り戻したい、請求されている料金を支払いたくない等、約束した調査の不実施や金銭トラブルの内容第一章Q1参照を警察に相談しても、管察は「民事不介入」ということで取り合ってくれないのが現状です。その場合は、最寄りの消費生活センターや弁護士に相談するとよいでしょう。実際の手続としては、内容証明郵便を用いて、「契約は無効」「契約を取り消す」「契約を解除する」等の意思表示をきちんと行っておくことが重要です。また、約束どおりの調査を行わないという理由で債務不履行民法四一五条に基づく契約解除を行う場合、契約を解除する時点で調査をすることができる状態であるときは、解除の前提として、履行の催告必要な期間を定めて、その期間内に調査を行うように催促するが必要ですので、この点に注意する必要があります。口内容証明郵便内容証明郵便とは、①どのような内容の手紙を、②いつ誰に出したかということを、郵便局が証明してくれるものです。電話で言っただけでは、後で「言った、言わない」の争いになってしまうこともありますが、内容証明郵便を使うことで、その意思表示は「確固たる証拠」として残すことができます。電子データを印刷した書面でも、手書きの書面でも、どちらでも作成可能ですが、書面一枚に書くことのできる文字数には制限がありますので注意してください。また、書面の冒頭または最後に、差出人の住所・氏名、受取人の住所・氏名を書きます。差出人の氏名の後には押印が必要です。この印鑑は認印でよく、実印であることは要しません。なお、書面の枚数を増やすことは可能ですが、その分郵便代がかかることになりますので、できるだけ簡潔な文面を心がけましょう。もっとも、自分で専門的な文書を作成するのは困難と思われますので、各地の消費生活センターや弁護士会に相談することをおすすめします。■日本調査業協会の苦情処理なお、昭和六一年五月に設立された日本調査業協会全国に二三カ所の地方単位協会が整備され、約六〇〇社あまりの加盟員探偵事務所・調査会社・興信所が所属している。第一部第二章Q6参照に相談する方法も考えられますが、あくまで任意の団体であって、すべての興信所が加入しているわけではありませんし、必ずしも組織率が高いとはいえませんので、探偵・興信所のトラブルすべてに対処してもらえるわけではなく、業界団体ですから限界があるでしょう。
探偵業法はトラブル解決に役立つのか探偵に調査を依頼して契約を結びました。高額な契約だったのですが、説明のための普面は全くなく、口頭で説明されただけで、何にいくらかかっているのかょくわからず、だまされたのではないかと思っています。新しく、探偵業法という法律ができたと聞いたので、支払った代金を返してもらえないかと考えています。この法律は解決に役に立つのでしょうか。
2025/09/05
口探偵業法の成立平成一八年六月に、探偵業法が成立しました第一部第二章Q2参照。探偵業法により、探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、あらかじめ重要な事項について、書面を交付して説明しなければならないとされています同法八条一項。そして、その説明事項として、提供することができる探偵業務の内容、探偵業務の対価その他の当該探偵業の依頼者が支払わなければならない金銭の概算額・支払時期、契約の解除に関する事項等が含まれており、これに違反した場合には罰則があります 第一章Q13・Q14参照。法律が定めている事項を記載した書面を交付して「説明」しなければならないとしていますので、書面を交付すれば足りるというのではなく、口頭での書面説明が必要であると考えられます。同様の規定がおかれている毛地建物取引業法では、「説明方法は、単なる内容の期読だけでなく、相手が理解する程度の説明が必要である。相手が誤解していることを知りながらさらに詳しく説明をしなかったときは、いまだ説明義務を果たしたとはいえない」明石三郎ほか「詳解 先地建物取引業法[改訂版]」六八頁と解釈されているのが参考になります。さらに、契約が締結されたときには、当該契約の内容を明らかにする書面契約書面を交付しなければなりません同法八条二項。契約書面に記載すべき事項は、調査の内容・期間・方法、調査結果の報告の方法・期限、調査報酬の金額・支払時期など八項目が法律で定められています。したがって、ご質問のように、契約内容が抽象的で、支払いの代金が何のための対価かよくわからない場合には、そもそも、探偵業法の要求する書面を交付して説明するという義務を怠ったという説明義務違反や契約書面不交付による契約不成立の主張をすることができます。説明文善を交付していない場合には、説明義務を怠ったことが推認され、探偵業者は説明義務違反債務不履行により賠償責任を負うことになるからです。また、契約書面を交付していない場合には、そもそも契約内容の特定ができないため、契約がまだ成立していないと解釈されることになります。したがって、すでに費用を支払っているときは、その返還を請求することができます。口営業停止、『則また、探偵業法には、営業停止の処分や罰則も設けられていますので同法一五条・一七条、交渉を行う際には、そのような処分や刑事罰を求める意思があることを明示することも重要です。
どのような行為が公序良俗違反となるのか探偵や興信所の担当者は、犯罪すれすれの行為もしていると聞きます。民法では、そのような行為をする契約を認めていないと聞いたことがありますが、本当でしょうか。
2025/09/05
民法では、公序良俗に反する行為は無効と定められています。公序良俗に違反する行為とは、「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為」民法九〇条のことであり、この公序良俗に違反する行為と認められれば、その契約は当然に無効となります。たとえば、殺人を依頼する契約や、男性と女性の間で妾めかけとして尽くすことを約束させる契約などは公序良俗違反の典型的なものです。探偵・興信所に関していえば、「調査対象者の住居に忍び込んで、その人の携帯電話番号などの個人情報を調べる盗む」といった契約や、「夫の不倫相手に連日、深夜も含め絶え間なく電話をかけ、不眠症に陥らせるその結果、不倫関係をやめさせる」といった契約、「暴力も辞さず、手段は選ばずにAとBとを別れさせる」といった契約などは、明らかに公序良俗違反行為といえるでしょう。口暴利行為も公序良俗違反になるまた、公序良俗違反行為の一類型として、いわゆる暴利行為と呼ばれるものもあります。たとえば、探偵・興信所が、ある人物の所在を調査するための費用として三〇〇万円の支払いを要求してきたとします調査期間は一週間。しかし、そもそも常識的に考えて、ある人物の所在を調査するために三〇〇万円もの費用が必要でしょうか。しかも、探偵・興信所が所在調査のために実際に動く時間は、わずか一週間です。この一週間という短期間に探偵・興信所が所在調査のために費やす費用は、たかが知れているでしょう。そう考えると、三〇〇万円という金額は不当に大きすぎるといえます。また、仮に当該調査対象者が会社を出てから自宅に帰るまでを追跡すれば所在が容易に判明するような場合、そのような行動自体は誰にでもできることですから、契約金額の不当性がいっそう浮き彫りになります。このようなケースにおいては、当該契約は暴利行為として公序良俗違反により無効とされるべきです。もっとも、実際問題としては、「暴利行為」と呼べる範囲が一義的には明確ではないという実情があります。口不法原因給付に注意なお、公序良俗違反について注意しなければならないのは、事案によっては、不法原因給付民法七〇八条として、依頼者からの探偵・興信所に対する代金の返還請求が認められないおそれがあるということです。不法原因給付とは、不法なことに関して金銭を相手方に渡すことで、渡した者は、その後、相手方に対してその金銭の返還請求をすることは許されません。ただ、金銭の支払いを受けた側の不法性が、支払った側の不法性よりも強い場合には、不法原因給付とはされず、返還請求も許されます。たとえば判例では、女性が、男性に妻のあることを知りながら情交関係を結んだとしても、情交の動機が主として男性の詐言を居じたことに原因している場合で、男性側の情交関係を結んだ動機、詐言の内容、程度、その内容についての女性の認識等の事情を斟酌し、女性側における動機に内在する不法の程度に比し、男性側における違法性が著しく大きいものと評価できるとして、当事者間の不法性を斟酌したうえで、貞操等の侵害を理由とする女性の男性に対する慰謝料請求を許しています最高裁昭和四四年九月二六日判決・判例時報五七三号六〇頁。ですから、探偵・興情所が執拗に、あるいは虚言を弄して依頼者に不法な契約を締結させた場合には、たとえ依頼者側にも一定の落ち度不法性が認められたとしても、探偵・興所の不法性のほうがより強度であるとして、依頼者から探偵・興借所に対する代金の返還請求も認められると思われます。この判断は個々の事案によることになるというしかありません。